まだ四ツ谷かと思うか、さあ後半スタートだと思うか – 伊藤健太 インタビュー

とびきりきつかった2018年4月の第四回大会を7時間42分20秒という堂々のタイムで優勝した、イトケンこと伊藤健太氏。
ご存じの通り、ハセツネ・比叡山・広島恐羅漢といったミドルカテゴリーのタフなレースでの上位入賞常連者だ。最近は信越五岳のような100kmを超えるロングでも結果を出している。

2018年11月、伊藤氏に、レース攻略のポイントやおすすめの練習メニュー、次回大会への意気込みを伺った。

— 伊藤さんにとって、トレランの魅力は何ですか?

伊藤氏: 距離が長く登りもあるのでゆっくり歩くところもあります。選手同士で会話しながら進むこともありますし、エイドでスタッフやボランティアの方々と雑談することもあります。ロードのマラソンに比べてゆるゆる走れるところが魅力的です。

また、トレランには走力以外にも大切な要素が沢山あります。ペース配分、補給のタイミングや方法、登りや下りのテクニック、ウェアやシューズの選択、防寒具、テーピングの仕方、そしてメンタルです。身体的な能力、つまり走力のピークが過ぎても、他の要素も影響を与えることが多いので、やり方の工夫次第で入賞など結果を残すことが可能です。私の場合、陸上選手としてのピークは過ぎていると思いますが、トレランにおいては距離などに適応していくことで、選手としてまだまだ勝負できる位置にいれると思います。そのやりくりが面白いです。

— 奥三河パワートレイルならではの魅力を教えてください。

伊藤氏: 地元の人が温かい応援を送ってくれます。エイドの盛り上がりも全国屈指だと思います。エイドの食べ物はご当地ものがたくさんあり、五平餅など美味しそうです。トップ集団は先を急ぐので食べれません。後ろ髪をひかれる思いでエイドを後にします。

またトレイルレースにおけるコースの種類が網羅されてます。ロード、階段、林道、岩場、木の根っこ、土、バリエーションが豊かなので飽きません。しんどいところで広がる景色に心が癒されます。後半には歴史のある鳳来寺山の境内も走れます。

コースの難易度が高い割に関門が厳しく、本格的なミドルトレイルレースです。出場される方々は相当な覚悟と準備をしておられると思います。スタート地点に集まったトレイルランナー皆さんが胸を張れる、そのような大会です。その中で参加される女性ランナーは皆さんエリートの雰囲気とオーラがあります。

— 奥三河パワートレイルを走る上での戦略やポイント教えてください。

伊藤氏: 小松まではウォーミングアップのつもりで走ります。特に茶臼山を過ぎてから延々と続く林道の下りはついついとばしすぎてしまうので、思い切って抑えます。ここを調子に乗っていってしまった第一回大会では後半脚が売り切れて岩古谷山あたりの階段が地獄に思えました。練習不足で臨んだ前回大会は第一エイドを70位で通過し、フィニッシュは8位でした。ペースを一定に保つだけで順位は勝手に上がっていきます。逆に言うと後半、誰もが脚が止まります。

ポイントは小松から四ツ谷です。この区間が小刻みなアップダウンがこれでもかと繰り返されます。四ツ谷に着いたときに、まだ四ツ谷か、と思うか、さあ後半スタートだ、と思うか、かなり違います。今回は、四ツ谷でここから勝負だ、と思えるペース配分とメンタルで来れたのでそれからもうまく走れました。

奥三河対策の練習としては、脚が売り切れた状態でアップダウンのあるコースをどれだけ走れるか、をテーマに取り組んでみるといいと思います。例えば土曜日にロードやトラックでスピードで追い込み、日曜日は山でロング走、という感じです。時間がなかなかとれない方は、階段の上り下りを繰り返すとメンタルも鍛えられるのでオススメです。私は2分で登りきれる公園の階段を2時間繰り返したりしてました。

四月に開催されるレースですので、暑さに慣れていません。練習から必要以上に着込んで暑さに慣れておくと良いです。またサウナに通って暑熱順化する手もあります。レースでは帽子をかぶるとよいです。

— 今年もエントリーされておりましたら、意気込みをお聞かせください。

伊藤氏: 今年もエントリーする予定です。奥三河PTをしっかり走りきれれば、日本のどのレースでもしっかり走り切れる、そう思わせてくれるのが奥三河です。
また、ようきたのん、と三河弁で応援してくれるおじいちゃんやおばあちゃんにも会いたいです。
ゆくゆくは100マイルの大会に参加していきたいと思っています。奥三河で100マイルレーサーへの道を切り開きたいです。

最後に、奥三河PTは出場される選手全員がチャレンジャーな大会です。温かい応援と励ましをお願いします。